みさと笛の「裏穴」の使用法と発想への批判
「みさと笛」の裏穴の使用法について、情報を頂きました。ありがとうございます。(o_ _)oP
- 「六七1ーーー」と上がるときは表の孔全部と裏孔を開けて「開けの1」を用いる。
- 「212ーーー」のように、上からいったん下りるときの「1」はふつうの唄用篠笛と同じく、右小指以外閉じる「閉めの1」を用いる。
- 「開けの1」のほうが「閉めの1」よりクリアーな音質(明るい音)なので、通常は「開けの1」を用いることが多い。
確かにふつうの唄用篠笛で「六七1ーーー」と上がるとき、「1」を出すのが難しく、音質も暗めになってしまうので、そこを「改良」ということなんでしょう。
尺八は2オクターブ目の「D」(ドレミの「レ」)を出すとき、指孔全部閉じた「甲音」と指孔全部開けた「呂音」(尺八では「乙音」と呼ぶ)の2通りを使い分けられるので、篠笛でもそういう使い分けが出来るようにとの発想なのだろうと思います。
しかし、それだけのために、不自然な位置に裏穴を開けて非常に持ちづらくなっている「現在のみさと笛」は、「合理的ではない」と感じています。
クリアな音質の「1」は、七孔唄用篠笛でも
[○●●|●●●○] の替え指で、出すことが出来ますし。
(もっとも、みさと笛の裏穴開放、表穴全開のときの音質よりは、暗めだと思いますが。)
尺八では筒音と筒音のオクターブ上の音が音楽上重要な音なのですが、唄用篠笛では筒音も「1」も音楽上重要な音(核音)ではなく、「ニ、2」「三、3」「六、6」「七♭、7♭」が重要であり、全くシステムが違うと思います。尺八奏者の感覚で「改良」されるのは、筋違いではないでしょうか。これでは「唄用篠笛の改良」ではなく、「まったく別種の、新しい楽器」になってしまっていると思います。(この意味において、「ドレミ篠笛」も、「唄用篠笛の改良ではなく、新しい楽器」と見なすべきだと思います。「新しい楽器」という言葉自体には、良いという評価も悪いという評価も含んでおりませんので、ご注意下さい。)
私は「改良」を否定しているのではなく、建設的な批判として述べておりますので、誤解されないようお願いします。何事も、実験と冒険なしで進歩することはありえません。みさと笛の試みは大変野心的なものであり、高く評価されるべきです。
実験・冒険が100%成功するわけではないし、現在の「みさと笛」の方向性以外にも多くの可能性がある(例えば「リシ笛」)のですから、評価と選択は具体的かつ慎重に公平に行うべきだ、と考えております。
唄用篠笛にも欠点は多数あります。例えば「右小指の孔が押さえにくく、筒音も出しにくいので合理的ではない」「三・3の音の音律が低すぎる」という批判があり、この点は事実だと思います。
結局、どのシステムの笛にも長所と短所、設計上の妥協点があり、調律と音を優先すると指に無理がきます。(例:みさと笛の裏穴、唄用篠笛の右小指の孔)逆に、持ちやすさ(指の押さえやすさ)を優先すると、調律が難しく、音階を演奏しづらくなります。(例:囃子用・古典調篠笛の全体設計)
「押さえにくい指孔」、「調律の不完全さ」に関しては、「慣れるしかない」ので、最終的には好みの問題なんですね。
私自身としては、現在のところ「唄用篠笛」の本質的な部分(核音「2」「3」「6」「7♭」の重視)を残しつつ、指孔の押さえやすさ・調律の正確さ・理論的根拠・音質を改良していく方向性に、最も魅力があると考えています。
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コメント
笛1つにしてもすんごく奥が深い世界なんですね。
僕は、笛とか琴の音って大好きです。
投稿 たる | 2005年12月 5日 (月) 17時30分
コメントありがとうございます。
篠笛(祭笛)は、ただ竹に孔を開けただけの単純な楽器ですが、その単純さゆえに、孔の位置や大きさが0.1mm違っても、音や演奏感覚が変わってくるんですよ。ほんとに奥が深いです。
まして、西洋のフルートみたいにいっぱい部品がくっついてたら…どれほど設計・調整が大変になることやら、見当もつきません!
日本人でよかった。(笑)
投稿 岩茸 | 2005年12月 5日 (月) 20時27分
たるさんの日記からやって来ました。
お誕生日おめでとうございます!!
篠笛、初めて知りました。
本当にデリケートな笛なんですね。
演奏する方は凄いです☆
投稿 しず | 2005年12月 7日 (水) 01時03分
凄くはないですよ~。自転車に乗ったり、スキーでターンするようなもので、慣れれば大丈夫です!
投稿 岩茸 | 2005年12月 7日 (水) 19時22分
すごい公正な評価だと思います。お人によっては「あれは篠笛ではない!」と断言されます。
左手親指は篠笛にとってとっても重要な役割をしている。音色にも影響がある。なのにその位置を持ちにくい位置に移動してしまっていると思います。山川直春という人が欧州に篠笛を持って演奏旅行に行って、西洋音楽に合わないからという理由で、西洋音階完全調律笛を作ることを目指したらしい。今もそれに挑んでる楽器屋さんもある。でもそれほど浸透していない。篠笛の延長上ではなく、別の目的で作られたと考えるべきなのでしょうか?
投稿 南野 | 2005年12月 9日 (金) 12時31分
南野様、コメントありがとうございます。
私の意見としては、「みさと笛」も「篠笛」であり、「西洋音階調律篠笛」と言って良いと思います。ただし、「唄用篠笛の延長線上からは、外れている」と思うのです。
目的は当然、唄用篠笛の改良だったのでしょうけれども、西洋側に寄りすぎてしまったのが、従来の唄用篠笛を置き換えるほどには普及しなかった理由のひとつだと思われます。
とはいっても、「唄用篠笛」自体、明治以降に登場したもので、歴史はそれほど古くないらしいですから、「唄用篠笛」が元祖であるかのような表現は、慎まなければいけないと思います。
投稿 岩茸 | 2005年12月 9日 (金) 21時46分